この間、後輩と話していて気付いたこと。いわゆる【さとり世代】と言われる人たちって、全体的にあまりガツガツしていない印象。じゃ、それが悪いことなのかどうか。
私が社会人になった時、困ったことが1つあって。学生時代は明確な目標があって生きていたのに、それが急に無くなったんですよね。そうなった時、心に穴が空いたと言うか、虚無感って言うのかな?そういうのを感じたんですよね。スポーツやってた人とか、学生時代に何か頑張っていたことがある人は共感してくれるんじゃないかなって。
今回は目標の見付け方っていうよりも、それに対する心構えとか、そうなってしまう理由とか。そういうのを書いてみようかなと。まぁ、私的には、生きてきた環境にもよるのかなと。
夢・目標を見付けたくなる心理
承認欲求が強い
私自身は、夢とか目標がないとダメなタイプで。なんでだろうって考えたときに、結果とか成績で承認欲求を満たしていたんじゃないかなって。例えば、親に認められたいとか先生に認められたいとか。そのためには、いい学校に行くとか、スポーツで成績を残すとか。なので、他人に認められたいって思っている人が多いんじゃないかと思う。まぁ、これは私自身がそうだったんだけどね。(笑)
実はしんどい
そういう頑張る対象がないと、生きてる意味を見出だせないんですよね。でも、これって、結構しんどいことで。一生何か見付けていかないといけなくなる。結局は、今に満足出来ていないんですよね。すげー欲深いんだと思う。一生心は満たされないんだろーなって。だから、さとり世代って、本当に悟ってるんじゃねーかと思う。
夢や目標を持つべきか?
老子の言葉より。
これって、別の言い方をすると現状に満足しているってことかなと。さとり世代って、老子の「足るを知る者は富む」って言葉が合っているんじゃないかなと。ここで以下の文を引用させてもらいます。
人を知るものは智なり、自らを知るものは明なり。人に勝つものは力有り、自ら勝つ者は強し。足るを知る者は富み、強めて行うものは志有り。其の所を失わざるものは久し、死して亡(うし)なわざる者は寿(いのちなが)し。
訳:他人のことをよく知る者は知恵ある人で、(それよりも)自分のことをよく知る者こそ賢明な人です。人と争って勝つ人はたしかに力がありますが、(それよりも)自分に勝つ人こそほんとうに強い人です。これでよしと満足することを知る人はほんとうに豊かな人で、努力して正しいことをする人は意志の強固な人です。(しかし)自分の立場を心得ていてそれを見失うことのない人は久しく生きたことになり、たとえ身は死んでも道を失わない人は永遠の命を保つことになります。
ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 老子・荘子,角川ソフィア文庫,P84-85
名と身と孰れか親しき。身と貨と孰れか多とす。得と亡と孰れか病める。是の故に甚だ愛めば必ず大いに費やし、多く蔵すれば必ず厚く亡う。足るを知れば辱められず、止まるを知れば殆うからず。以て長久なるべし。
訳:(あなたは)名誉と自分の身体とどちらに親しみがもてますか。身体とお金とどちらに多くの価値をおきますか。何ごとにつけ、それを手に入れるのとなくするのとどちらが苦痛ですか。(人の失敗は名誉やお金のために最も大切な生命をなくすることにあります。)このように本質的でないことにけちけちして出し惜しみし過ぎると必ずどかんと多くの出費がかさみ、あまりたくさんのものをためこむと必ずどさっとなくなるものです。だから、これでもうよいと満足することを知れば恥をかくこともありません、ここでもうよいと立ち止まることを知れば危険にあいません。そして長く久しい幸せを手に入れることができるのです。
ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 老子・荘子,角川ソフィア文庫,P93-94
天下に道有れば、走馬を却(しりぞ)けて以て糞(たづくり)す。天下に道無ければ、戎馬(じゅうば)郊(こう)に生む。罪は欲すべきより大なるは莫(な)く、禍(わざわい)は足るを知らざるより大なるは莫く、咎(とが)は得んと欲するより大なるは莫し。故に足るを知るの足るは、常に足る。
訳:天下に正しい道がおこなわれておれば、(軍事連絡用の)走馬をひっこめて田畑を耕させ〈糞〉ます。天下に正しい道がおこなわれないときは、(戦争が続き牝馬まで動員され)軍馬〈戎馬〉が郊外で子を生み落とす有様です。(このように戦いを起こし人々を苦しめる)罪は支配者たちの果てしない欲望より大きなものはなく、(人々にもたらされる)禍いは支配者が満足することを知らないことより大きなものはなく、(人々が受ける)災難〈咎〉は支配者が何でも手に入れたがる欲望より大きなものはありません。そこで(私はいうのです)、満足することの意味をよく知ってこれでよしと満足するならば、いつでも満足できるのです。
ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 老子・荘子,角川ソフィア文庫,P100-101
さとり世代は精神的に豊かかも
これ、全部でそうだけど、欲望ってきりないよねって。今で満足することも重要だよって。精神的豊かさって満足することで得られるんじゃないかなと。だから、夢とか目標とかがないとダメっていう、私と同類の人たちは、一生、精神的に満足することはないのかもしれない。逆に、【さとり世代】って言われている人たちって、精神的に豊かで満たされている状態なのかなと思う。
育ってきた環境にも左右される
これって、考え方だから、どう育ってきたのかでも変わるのかなって。私もこれをわかってはいるし、理解もできてはいるけど、じゃこう考えられるかって言ったら難しい。だって、小さいときからの考え方だから、理解したところで数年じゃ変えられないのよ。
それこそ、結果を褒められてきたとか、結果を出すことで認められてきた人間って、それを出せなかったり、どう出したらいいかわからないと、自分の価値を見出だせなくなる。そう言われたわけではないけど、自分でそう思ってても。まぁ、私がそうなんだけどね。(笑)
最後に
会社とかで上司や先輩、同僚とかに「もっと上を目指したいと思わないの?」って言われたら、「老子って知ってますか?」って対抗してやったらいい。私は上昇志向が強いタイプだけど、実は羨ましいと思っている。そうじゃ無い人が。だって、ずっと満たされないんだもん。これって結構しんどいと思わない?考え方が変わるまで、ずーっと満たされないまんま。飲んでも飲んでも喉が渇くんだよ?整形依存症の人と一緒だよね。綺麗になっても満足できない。
いわゆる【さとり世代】とか、その世代じゃなくても上司・先輩・同僚に「もっと上を…」って言われる人で、もし悩んでいるなら自信を持ったほうがいい。満足できるって凄いことだから。精神的に豊かな証拠だから。
で、逆に夢とか目標がないと、なんかダメっていう人達は、なんでそうなっているのか理解することも必要かなと。別に変わる必要もないけど、それが辛いって人は、まず理解するだけでも楽になるんじゃないかなーと。